日本の医療費問題は非常に由々しく、これから少子高齢化が進むほどに社会保障費が国費の中で占める割合が大きくなっていくと考えられるだけに、国は医療費を削減する方向へと国策を転換しています。国の財政が行き詰ってからでは遅いため、徐々に実際の制度として反映されていくものと考えられます。予防医療にお金をかけることで病気になる国民を減らし、医療費を削減しつつ健康寿命を延ばそうとする取り組みもやがて限界を迎えることでしょう。そうなった場合、どのような制度改革が行われるのでしょうか。
まず、現在目論まれているのは国民健康保険で保障できる範囲を限定するというものです。例えば、ある検査は1年に1回なら保険診療でできるけれど、それ以上は実費がかかるなどです。期間ごとの診療や検査の回数を制限することで病院にかかる回数を減らす、という方針で徐々に実現しています。やがて全く保険診療できない分野が拡大する、などの未来が懸念され、本当に命を左右する医療以外は保険の範囲から見直されて消えていく可能性があるのです。
また、保険点数自体の見直しも行われています。点数、とは医療の価格を決定する指標であり、点数が下がれば医療の価格が下がるため患者にはいいことのように聞こえます。しかし、薄利多売とはいかない医療で病院の利益を切り詰めると、病院の生き残りが難しくなり、余力のある医療機関以外は潰れる可能性があります。比較的安定していた医療業界ですが、これまで通りではいられないかもしれませんね。